kazz の数学旅行記

数学の話題を中心に, 日々の知的活動の旅路を紹介します.

2019-03-26から1日間の記事一覧

作業終了

数学エッセーを、ヤフーブログからはてなブログへ移植する作業が、 やっと終了しました。

多様体論から代数幾何学への橋渡しをする本

僕は以前, 代数幾何学の本の最初の方を少し読んで, 「環付き空間」なる記述を見かけたことがあります. そのときの感想 「なにこれ?」 見事につまづきました(笑) それから 2 年くらいののちに, 僕は, ある本と出会いました. C^∞ Differentiable spaces (Sp…

non-degenerate な可微分写像の単射性

ある掲示板で, 次のような問題を見かけました: f : R^n → R^n が至る所微分可能で, そのヤコビ行列式 det J(f(x)) が至る所 ≠ 0 ならば, f は R^n 上 1-1 になるか? 答え. n>1 であれば, 反例があります. x = (x_1, ... , x_n) ∈ R^n に対して, f(x) = f(x_1…

不等式の簡単な問題

今日は, 某掲示板で見た, シンプルな問題です. f:R → R を関数で, 任意の x, y ∈ R に対し, f(x) - f(y) ≦ (x-y)^2 が成り立っているとする. このとき, f は定値関数であることを示せ. 解法 x と y の役割を入れ替えれば, 任意の x, y ∈ R に対し, f(y) - f(…

グラフが弧状連結になる関数の連続性

今回の数学エッセーでは, R のコンパクト区間 [a, b] からハウスドルフ空間 Y への写像 f のグラフ G が弧状連結の時, f が連続になることを証明します. f が連続ならば明らかに, G は弧状連結となりますから, この逆が成り立つ, という定理です. https://ka…

グラフが連結になる関数は連続とは限らない

今回の数学エッセーでは, 関数のグラフの連結性と 関数の連続性についての関係を話題にします. 初等的な, 軽い話題ですが, 某掲示板で, 関数の連続性を, そのグラフの連結性と混同しているかのような 記述を見かけましたので, 一つ, 注意を喚起しておきます.…

一様空間と選択公理

今回の数学エッセーでは, 一様空間論について, 軽い話題です. 一様空間論は, ブルバキの位相 Chap.2 において定式化されています. その中で重要な定理は, 一様空間の分離完備化や, よく知られた定理: 『準コンパクト一様空間から一様空間への連続写像は, 一…

ブルバキ数学原論に超限論的選択関数が出てくる理由

ブルバキの数学原論には, 超限論的選択関数が出てきます. A(x) を x を変数とする論理式とする時, τ_x(A(x)) の形で, A(x) を満たす x が存在する時は, そのような xのうちの一つ, A(x) を満たす x が存在しない時は, ある一つの対象を表します. ブルバキは,…

選択公理と可測集合

今回の数学エッセーのテーマは, 選択公理と可測集合です. と言っても, 基礎論を勉強されている方にとっては, よく知られている結果ですが. 以下のような疑問を呈する方がいました: 『R の Lebesgue 非可測部分集合の構成には, 選択公理が必要ですか?』 答え:…

写像の一点における値と写像による集合の像の違い

今日は, 数学をする上では紛らわしい, 記号の区別についてです. 以前も、同じようなことを書いたかも知れません. E, F を集合, f : E \to F を写像とします. 集合論的には, f = (G, E, F) なる三つ組で, G \subseteq E \times F であり, 任意の x \in E, y, …

数学クイズ

今回の数学クイズは, ある中学生の方が, おじいちゃん, この問題解ける? と, おじいちゃんに出題し, そのおじいちゃんは解けずに, おじいちゃんの知り合いの, 数学マニアの方に依頼したのですが, その数学マニアの方も解けず, 僕のところに回ってきたもので…

位相空間の部分集合の境界についての話

位相空間 X の部分集合 M, N に対し, M^f と N^f をそれぞれ, M, N の境界とする時, M ⊆ N ⇒ M^f ⊆ N^f が成り立たないのは不思議だ, という, 素朴な疑問を聞いたことがあります. 学部生の方でしょうか, 位相について, あまりにも難しく考えすぎて, 素朴な例…