ある掲示板で話題になっていました.
その掲示板での説明が, 私にはわかりにくかったので,
今回の数学エッセーでは, 論理式 A に対し,
(A ⇒ ¬A) ∧ (¬A ⇒ A)
から矛盾が導かれることの証明を, LJ で与えます.
(A ⇒ ¬A) ∧ (¬A ⇒ A) を R と略記します.
ここに, A ⇒ B は『A ならば B』の意味で,
論理式の列 S: A_1, ..., A_n
と
論理式 B
に対して, S を左辺, B を右辺に持つ sequent を
S → B
で表すことにします.
sequent
R →
の LJ に於ける証明図は以下の通りになります:
(図 1の通り)となります.
(表示するデバイスによっては文字化けで正しく表示できないので,
スクリーンショットを撮って, 画像で表示しています.)
ここに, (1)~(16) は, 以下の sequent です:
(1) A, A ⇒ ¬A → A
(2) ¬A, A, A ⇒ ¬A →
(3) A, A ⇒ ¬A → ¬A
(4) A, A ⇒ ¬A →
(5) A ⇒ ¬A → ¬A
(6) ¬A , ¬A ⇒ A → A
(7) ¬A, ¬A, ¬A ⇒ A → A
(8) ¬A, ¬A ⇒ A →
(9) ¬A ⇒ A → ¬¬A
(10) R → A ⇒ ¬A
(11) R → ¬A
(12) R → ¬A ⇒ A
(13) R → ¬¬A
(14) ¬¬A, R →
(15) R, R →
(16) R →
ここで, sequent (1), (3), (6), (10), (12) は明らかに LJ provable
なので, その部分の証明図は省略しました.
また, 増・減などの推論で, 自明にわかる部分は省略しました.
一方, LJ からは排中律は証明不可能です.
従って, 以上のことにより, R から矛盾を導くのに, 排中律は必要ありません.
文責: Dr. Kazuyoshi Katogi