kazz の数学旅行記

数学の話題を中心に, 日々の知的活動の旅路を紹介します.

LJ に於ける, A ⇔ ¬A からの矛盾の証明. (排中律なしでの証明)

ある掲示板で話題になっていました.

 

その掲示板での説明が, 私にはわかりにくかったので,

 

今回の数学エッセーでは, 論理式 A に対し, 

 

(A ⇒ ¬A) ∧ (¬A ⇒ A)

 

から矛盾が導かれることの証明を, LJ で与えます.

 

(A ⇒ ¬A) ∧ (¬A ⇒ A) を R と略記します.

 

ここに, A ⇒ B は『A ならば B』の意味で,

 

論理式の列 S: A_1, ..., A_n

 

 

論理式 B

 

に対して, S を左辺, B を右辺に持つ sequent を

 

S → B

 

で表すことにします.

 

sequent 

 

R →  

 

の LJ に於ける証明図は以下の通りになります: 

 

f:id:kazz-scw:20190302164114j:plain

(図 1)

 

 

 

 

(図 1の通り)となります. 

 

 

(表示するデバイスによっては文字化けで正しく表示できないので,

 

スクリーンショットを撮って, 画像で表示しています.)

 

 

 

ここに, (1)~(16) は, 以下の sequent です:

 

(1) A, A ⇒ ¬A → A

 

(2) ¬A, A, A ⇒ ¬A →

 

(3) A, A ⇒ ¬A → ¬A 

 

(4) A, A ⇒ ¬A → 

 

(5) A ⇒ ¬A → ¬A 

 

(6) ¬A , ¬A ⇒ A → A

 

(7) ¬A, ¬A, ¬A ⇒ A → A

 

(8) ¬A, ¬A ⇒ A →

 

(9) ¬A ⇒ A → ¬¬A

 

(10) R → A ⇒ ¬A

 

(11) R → ¬A

 

(12) R → ¬A ⇒ A

 

(13) R → ¬¬A

 

(14) ¬¬A, R →

 

(15) R, R →

 

(16) R →

 

 

ここで, sequent (1), (3), (6), (10), (12) は明らかに LJ provable

 

なので, その部分の証明図は省略しました.

 

また, 増・減などの推論で, 自明にわかる部分は省略しました.

 

 

 

一方, LJ からは排中律は証明不可能です.

 

 

 

従って, 以上のことにより, R から矛盾を導くのに, 排中律は必要ありません.

 

 

 

 

 

文責: Dr. Kazuyoshi Katogi