kazz の数学旅行記

数学の話題を中心に, 日々の知的活動の旅路を紹介します.

微分の極限交換可能性

Yahoo 知恵袋で、下記のような質問を見かけました:

 

I を R の区間, f : I → R を微分可能関数, a∈I とするとき、

 

lim_{x→a, x≠a} lim_{h→0, h≠0}(f(x+h)-f(x))/h

 

= lim_{h→0, h≠0} lim_{x→a, x≠a} (f(x+h)-f(x))/h

 

i.e., lim_{x→a, x≠a}Df(x) = Df(a)

 

が常に成り立つか?

 

ここに、Df(x) は x における f の微分係数です。

 

 

 

 

 

 

この答えは、以下のように、決定的なものになります。

 

極限値 lim_{x→a, x≠a}Df(x) が存在する場合は、

 

この極限は Df(a) に等しくなります。

 

つまり、

 

lim_{x→a, x≠a}Df(x) = Df(a)

 

となります。

 

もちろん、極限値 lim_{x→a, x≠a}Df(x) が存在しない場合は、

 

等式

 

lim_{x→a, x≠a}Df(x) = Df(a)

 

には意味がありません。

 

このことは、実変数実数値可微分関数の導関数には、

 

第1種の不連続点が存在しないことから、

 

直ちに従います。

 

 

 

 

 

文責: Dr. Kazuyoshi Katogi