kazz の数学旅行記

数学の話題を中心に, 日々の知的活動の旅路を紹介します.

不等式の簡単な問題

今日は, 某掲示板で見た, シンプルな問題です.

 

f:R → R を関数で, 任意の x, y ∈ R に対し,

 

f(x) - f(y) ≦ (x-y)^2

 

が成り立っているとする.

 

このとき, f は定値関数であることを示せ.

 

 

 

 

 

 

 

解法

 

x と y の役割を入れ替えれば, 

 

任意の x, y ∈ R に対し,

 

f(y) - f(x) ≦ (x-y)^2

 

も成り立つので, 結局, 任意の x, y ∈ R に対し,

 

|f(y) - f(x)| ≦ |x-y|^2

 

が成り立つ.

 

x ≠ y として, 両辺を |x - y| で割ると,

 

|(f(y) - f(x))/(y-x)| ≦ |x-y|

 

となり, y → x として, 

 

lim _{y → x} (f(y) - f(x))/(x - y) = 0

 

がわかる.

 

すなわち, f は R 上至る所微分可能で,

 

その微分係数 Df(x) は, 任意の x ∈ R に対し, 0 である.

 

従って, f は定値関数である.

 

 

 

 

 

文責: Dr. Kazuyoshi Katogi