今回の数学エッセーでは, 某掲示板で見た, 次の定理を証明します:
定理: K を離散でない位相体, n を自然数とする.
M_n (K) を K 係数の n 次正方行列の全体に,
K^{n^2} 次元左ベクトル空間としての標準的な K 位相線型空間としての位相を与えた位相空間,
G_n (K) を K 係数の n 次可逆行列の全体とすると, G_n (K) は M_n (K) で稠密である.
証明.
E = K^n は右 K 線型空間とみなす.
M_n (K) の任意の行列 A = [a_1, … a_n] を取る.
ここに, a_i ∈ E は A の第 i 列である ( 1 ≦ i ≦ n ).
一般性を失わずに,
1≦ p < n なる, ある自然数 p に対し, (a_1, … , a_p) は K 上線型独立で,
A の階数は p となっているとして良い.
F を (a_1, … , a_p) から張られる E の K 線型部分空間,
F’ を E における F の K 線型補空間,
(b_1, … b_{n-p}) を F’ の K 上基底とする.
今, t ∈ K - {0} に対して,
A(t) = [a_1, … , a_p , a_{p+1} + ( b_{1}・t ) , … , a_n + ( b_{n-p}・t ) ]
とおけば, 明らかに, A(t) は階数 n だから, A(t) ∈ G_n (K) で,
t → 0 (t ≠ 0) in K
の時,
A(t) → A in M_n (K)
となる.
文責: Dr. Kazuyoshi Katogi