休日の時間を利用して, 数学ファイルの更新を行なっております.
今回は, 先週の続きです. 上記ファイルの, section 19.5 で定式化されている, Young の定理です:
定理 19.5.6
K を R 又は C, E_1, E_2 を K ノルム空間, F を分離多ノルム空間, U を E_1 × E_2 における原点の開近傍, f : U → F を写像で, f は E_1 方向, E_2 方向に, それぞれ偏微分可能で, 次の二つの写像:
D_1 f : U → L (E_1; F),
D_2 f : U → L (E_2; F)
は, 点 (0, 0) において微分可能とする.
この時, 任意の x_1 ∈ E_1, x_2 ∈ E_2 に対し,
D_1 D_2 f(0, 0)(x_1)(x_2) = D_2 D_1 f(0, 0)(x_2)(x_1)
が成り立つ.
前回の記事で紹介した Schwartz の定理と合わせ, この両方の定理は, 私の pdf では, フレッシェ微分の範囲で定式化されています.
これらの定理は, 元々は, 実変数実数値関数の範囲で定式化されておりました. (c.f. 『解析概論』高木貞治)
証明のためには, やはり, f の二階階差が重要な役割を演じます.
ただ, Young の定理の フレッシェ微分バージョンでは, 有限増分の定理を使わず, 平均値の定理によって, まずは F が R の場合の証明を行い, ついで, F が一般の場合については, 半ノルムの精密な性質を用いて, 証明されます.
文責: Dr. Kazuyoshi Katogi