kazz の数学旅行記

数学の話題を中心に, 日々の知的活動の旅路を紹介します.

全不連結コンパクトハウスドルフ空間の一性質

久しぶりの数学エッセーです。

 

今回は、全不連結コンパクトハウスドルフ空間 X の任意の二点 x, y について,

 

x の X における開かつ閉な近傍 V が存在して, ¬ y ∈ V となるかという問題を考えます.

 

答えは肯定的で, 文献 [1], p.177 の命題 6 によると,

 

x の開かつ閉な近傍全体の共通分 A は x を含む X の連結成分となります.

 

つまり, X の全不連結性より A = {x} だから, x ≠ y より, 

 

x の X における開かつ閉な近傍 V が存在して, ¬ y ∈ V となります.

 

 

 

 

このことより, x の開かつ閉な近傍全体 B は, x をただ一つの接触点として持つ

 

フィルター基底となりますので, [1] p.71, 命題 1より,

 

B は X における x の近傍の基本系となります.

 

すなわち, X は開かつ閉な集合からなる位相の基底を持つことがこれでわかります.

 

 

 

参考文献

[1] ブルバキ / 数学原論 位相 vol.1 / 東京図書

 

 

文責: Dr. Kazuyoshi Katogi