今回の数学エッセーは, 点列の収束と集積点についての話題です.
一般に, 位相空間 X 内の点列 (a_n)_{n ∈ N} が X 内にただ一つの集積点 b を持っても, (a_n)_{n ∈ N} は X に於いて b に収束するとは限りません.
反例: X = R, a_{2k} = 1/k, a_{2k+1} = k と置くと, R に値を取る点列 (a_n)_{n ∈ N} は 0 をただ一つの集積点として持つが, (a_n)_{n ∈ N} は R に於いて 0 には収束しない.
X がコンパクトであっても, 反例があります. X = [0, 1], a_{2k} = 1/k, a_{2k+1} = 1 とおけば良いです.
但し, ここでは, b が位相空間 X 内の点列 (a_n) の集積点であるとは, X における b の任意の近傍 V と任意の自然数 m に対し, n∈N が存在し, n>m かつ a_n ∈ V-{b} なることとする.
文責: Dr. 加藤木 一好