今回の数学エッセーでは、代数的位相幾何学(代数トポロジー)と、代数幾何学の違いを、専門外の一般人向けに、なるべく、分かりやすく説明することにチャレンジしてみます。
円と三角形を例に取ります。
代数的位相幾何学では、円を輪ゴムのような材質でできた、伸び縮みし、ぐにゃぐにゃ変形できる図形であると考えます。その円をぐにゃぐにゃ変形させたり、伸ばしたり縮めたりして、三角形に変形できることは、直観的には明らかでしょう。(但し、輪ゴムを切ったり交差させたりしてはならない。)そういう、変形して円から三角形へ移れるということから、代数的位相幾何学の立場では、円と三角形は、本質的には同じ図形であると考えます。
一方、代数幾何学では、図形に現れている特異点を研究します。円に特異点はありません。しかし、三角形に特異点は 3つあります。この場合、特異点とは、角のことです。この、特異点の数、特異点の現れ方からすると、代数幾何学の立場では、円と三角形は、本質的には異なる図形であると考えられます。
しかし、私は代数的位相幾何学が専門で、代数幾何学の方は素人です。だから、代数幾何学についての認識は間違っているかもしれません。その場合は、悪しからず、ご了承ください。
文責: Dr. 加藤木 一好