kazz の数学旅行記

数学の話題を中心に, 日々の知的活動の旅路を紹介します.

正則関数についての初歩

ある掲示板で, 次のような疑問を見かけました:

 

『C を複素数体,

f: C → C を, f(z) = |z|^2 で定義すると,

f は原点で Cauchy-Riemman の方程式を満たしているから, 

f は原点で正則と言えるのではないですか?』

 

 

いいえ, 正則関数というのは, 定義域全体で Cauchy Riemann の方程式を

満たす実全微分可能関数を言います.

 

逆に言えば, その定義域のある点では

Cauchy Riemann の方程式を満たし, 別のある点では

Cauchy Riemann の方程式を満たさないような実全微分可能関数は, 

正則とは言いません. それがルールです.

 

 

 

上記の例での関数 f は, 確かに, 原点で Cauchy Riemann の方程式を満たし, 

原点で複素微分可能ですが, C の原点以外の点では, Cauchy Riemann

の方程式を満たさないので, 複素微分可能ではありません.

 

 

従って, f: C → C は正則関数ではありません.

 

 

 

文責: Dr. 加藤木 一好

ブルバキ多様体の補足ノート Chapter 1, 2

微分多様体の基礎 1

 

ファイルを更新しました.

 

ブルバキ多様体の第1, 2章の完全な証明がついています.

 

(第1, 2章の定式化は, これで完了です.)

 

第1, 2章のレベルならば, 私でも完全な証明をつけられますが, 

 

第 3章以降は, そうは行かなくなるでしょう.

LaTeX

予備の  PC に LaTeX  をインストールするのは、あきらめました。

 

PC がすごく性能が悪く、texwork を手順通りに設定しても、

 

ファイルがコンパイルされないからです。

 

だからウィンドウズはダメなんです。

 

Mac  が返ってくるまで待ちます。

弱微分可能関数の基本定理

ブルバキ多様体補足ノート、

 

微分多様体の基礎 1

 

更新しました。

 

 

今回の更新は、第  23 章です。

 

重要な定理の証明があります。

 

定理

r を 0 以上の整数,

K = R, or C,  E  を K  ノルム空間, U を E の開集合,

F を点列完備な分離多ノルム空間,  f : U → F  を写像で,

任意の u \in F' に対して, u \circ f : U → K

は r+1  回微分可能で、

D^{r+1}(u \circ f) : U → L_{r+1}(E; K)  は

U の任意の収束点列を L_{r+1}(E; K) の有界集合へ

移すとすると仮定する。

 

この時、f :  U → F は  C^r  級である。

 

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この定理は、もともとはルーマニア語の論文が原型です。

もちろん、私はルーマニア語など読めないので、

 

というより、原論文が手に入らなかったので、

 

証明は学生時代に自分で考えました。

 

但し,完全な証明を考え終わるまで、

3年半くらいかかった経緯があります。

 

 

 

 

文責:Dr.  Kazuyoshi Katogi  (加藤木 一好)

 

勇気

自分だけは安全な場所にいて動かず、相手にだけは動いてリスクを冒してもらおうとする態度。

 

又は、他人の責任でしか動けない、という態度。

 

最も勇気のない、ヘタレた態度だと思います。

 

この種の人間のこの種の態度は、僕には、すぐにわかります。