kazz の数学旅行記

数学の話題を中心に, 日々の知的活動の旅路を紹介します.

正則関数についての初歩

ある掲示板で, 次のような疑問を見かけました:

 

『C を複素数体,

f: C → C を, f(z) = |z|^2 で定義すると,

f は原点で Cauchy-Riemman の方程式を満たしているから, 

f は原点で正則と言えるのではないですか?』

 

 

いいえ, 正則関数というのは, 定義域全体で Cauchy Riemann の方程式を

満たす実全微分可能関数を言います.

 

逆に言えば, その定義域のある点では

Cauchy Riemann の方程式を満たし, 別のある点では

Cauchy Riemann の方程式を満たさないような実全微分可能関数は, 

正則とは言いません. それがルールです.

 

 

 

上記の例での関数 f は, 確かに, 原点で Cauchy Riemann の方程式を満たし, 

原点で複素微分可能ですが, C の原点以外の点では, Cauchy Riemann

の方程式を満たさないので, 複素微分可能ではありません.

 

 

従って, f: C → C は正則関数ではありません.

 

 

 

文責: Dr. 加藤木 一好