ある掲示板で, 次のような疑問を見かけました:
『C を複素数体,
f: C → C を, f(z) = |z|^2 で定義すると,
f は原点で Cauchy-Riemman の方程式を満たしているから,
f は原点で正則と言えるのではないですか?』
いいえ, 正則関数というのは, 定義域全体で Cauchy Riemann の方程式を
満たす実全微分可能関数を言います.
逆に言えば, その定義域のある点では
Cauchy Riemann の方程式を満たし, 別のある点では
Cauchy Riemann の方程式を満たさないような実全微分可能関数は,
正則とは言いません. それがルールです.
上記の例での関数 f は, 確かに, 原点で Cauchy Riemann の方程式を満たし,
原点で複素微分可能ですが, C の原点以外の点では, Cauchy Riemann
の方程式を満たさないので, 複素微分可能ではありません.
従って, f: C → C は正則関数ではありません.
文責: Dr. 加藤木 一好