数理論理学のテキストを更新しました:
このテキストの一番大きなテーマは, 定義による関数記号の導入が,
どのような場合に元の形式的体系の保存拡大になっているか,
という問題です.
今回の追加分は, 保存拡大についてよく知られた結果や,
スコーレム関数の導入が保存拡大になるかという問題,
そして, 理論への代入法則の具体例に関する記述です.
保存拡大という用語は, 数学基礎論専攻の方以外の方にとって,
聞き慣れないかもしれませんが, LK や LJ のカット消去定理も,
ある意味で, 保存拡大に関する結果の一つと言えます.
そのほかにも, 述語論理は命題論理の, 等号述語論理は述語論理の,
それぞれ保存拡大になっていることは, よく知られた事実です.
あとは, BGE が ZFC の保存拡大になっているという超数学的定理も, 有名です.
一方, 形式的体系へのスコーレム関数の導入は, 一般には,
保存拡大にはなっておりません.
ZF がその反例です.
が, 特別な場合については, 肯定的な結果があります.
理論への代入の具体例は, 直観的には明らかですが,
定式化は厳密に行わなくてはならないため,
あえて, 具体例を出しました.
文責: Dr. Kazuyoshi Katogi