kazz の数学旅行記

数学の話題を中心に, 日々の知的活動の旅路を紹介します.

テイラーの公式

 微分多様体の基礎 1

 

更新しました. section 20, テイラーの公式の定式化です.

 

係数体は R or C です. 

 

定式化には 3種類あって, U が ノルム空間 E の開集合, F が分離多ノルム空間の時, 

 

[1] f : U → F が n 回微分可能で D^n f が 点 a ∈ U において微分可能な場合

 

[2] f: U → F が n 回微分可能な場合.

 

[3] f : U → F が C^{n+1} 級の場合

 

の場合です.

 

[1] の場合が, best possible な条件で, 

 

z = f(a+h) - f(a) - Df(a)(h) - ・・・- D^{n+1}f(a)(h^{n+1})

 

は, h → 0 の時, || h || に関して接触次数 > n となります.

 

この性質が最も使いやすく, 私は [1] の場合のテイラーの公式を, 

 

ロピタルの定理の代替え品として, よく使っていました.

 

(ロピタルの定理は, 私には使いづらいです.)

 

[2] の場合は,

 

z = f(a+h) - f(a) - Df(a)(h) - ・・・- D^n f(a)(h^n) 

 

と置いた時, 有限増分の公式の拡張ともいえる不等式: 

 

|| z ||_q ≦ || h ||^n sup _{0 < t < 1} || D^n f(a + th) - D^n f(a) ||_q

 

が成り立ちます. ここに, q は F の任意の連続半ノルムです. 

 

[3] の場合は, 

 

z = f(a+h) - f(a) - Df(a)(h) - ・・・- D^n f(a)(h^n)

 

と置いた時, 

 

z = (1/(n!)) ∫_[0, 1] (1-t)^n D^{n+1} f(a + th) (h^{n+1})

 

と, 具体的な式で書けます.

 

 

ここで, [3] の場合, z はリーマン和の極限として定義されます.

 

この辺りの議論は, 積分論や一般位相にまで踏み込みます.

 

積分論のノート の section 3.1 

 

 

一般位相のノート  の section 3.26 

 

に, 必要事項の定式化があります. 

 

 

 

 

文責: Dr. Kazuyoshi Katogi