kazz の数学旅行記

数学の話題を中心に, 日々の知的活動の旅路を紹介します.

数学のモデルについての問題

ある掲示板で, 次のような問題を見かけました:

 

T をペアノの算術を実質上含む, 帰納的に公理化可能な, 無矛盾な形式的体系とするとき, T の論理式 A と T のモデル M, N で, M 内で A は真であり, N 内で A が偽であるようなものが存在することを証明せよ.

 

何のことかといえば, 

 

有名なゲーデル不完全性定理と完全性定理を使います.

 

まず, ゲーデル, ロッサーの不完全性定理より,

 

T の論理式 A を構成して, T からは A が決定不能であるようにできます.

 

つまり, T からは, A も not A も証明不可能であるような, 

 

T の論理式 A が構成できます.

 

つまり, 形式的体系 T + A と T + not A のどちらも, 無矛盾になります.

 

従って, ゲーデルの完全性定理により, T + A のモデル M と 

 

T + not A のモデル N が存在します.

 

この A, M, N が問題の条件を満たすものです.

 

 

 

 

 

文責: Dr. Kazuyoshi Katogi