kazz の数学旅行記

数学の話題を中心に, 日々の知的活動の旅路を紹介します.

ねじれの位置にある直線と直交する線分

今回の数学エッセーでは, 次のことを証明します:

 

『L_1, L_2 を R^3 のねじれの位置にある直線とする時, 

 

a_i ∈ L_i (i = 1, 2) をただ1組取って, ベクトル a_2 - a_1 が L_1 と L_2 の

 

どちらとも直交するようにできる.』

 

 

 

 

証明: 平行移動により, 初めから, L_1 は R^3 の原点を通るとして良い.

 

R^3 におけるアフィン直線とみなした時の L_2 の並進空間を H_2,

 

L_1 と H_2 によって張られる R^3 の部分 R 線型空間を H,

 

R^3 における H の直交補空間を K,

 

b ∈ L_2 とすると, c_1 ∈ L_1, c_2 ∈ H_2, d ∈ K が存在し,

 

b = c_1 + c_2 + d

 

となる.

 

ここで, 

 

a_1 = c_1 ∈ L_1,

 

a_2 := b - c_2 ∈ L_2

 

で,

 

a_2 - a_1 = d は, L_1, L_2 のどちらとも直交する. 

 

 

このような a_1, a_2 は一意である.

 

実際, a’_i ∈ L_i (i = 1, 2) が, ベクトル

 

d’ = a’_2 - a’_1 が L_1 と L_2 の両方とも直交するような R^3 の元であれば,

 

d = a_2 - a_1 と片片引き算して,

 

d’ - d = (a’_2 - a_2) - (a’_1 - a_1)

 

で, d’ - d ∈ K, かつ (a’_2 - a_2) ∈ H_2, (a’_1 - a_1) ∈ L_1 だから,

 

直和分解の一意性より,

 

d = d’, a’_2 = a_2, a’_1 = a_1

 

となる.

 

証明終わり.

 

 

 

 

 

文責: Dr. Kazuyoshi Katogi