kazz の数学旅行記

数学の話題を中心に, 日々の知的活動の旅路を紹介します.

表面粗さの定義

最近, 仕事の勉強もしているのですが, 

 

その中で, 表面粗さという言葉を調べていました.  

 

物体表面を磨いた時に, どのくらい, ざらざらしているのかを見る指標です.

 

ここでは, 私自身の忘備録も兼ねて, 粗さの指標, Ra, Rz についての解説をします. 

 

 

 

 

Ra, Rz については, 三菱マテリアルさんとか,

 

ネットで公開されているいろんなサイトで調べましたが, 

 

以下のように, 式で定義されています:

 

 

 

[1] まず, 物体の長さを L として, 物体を横たわらせます.

 

物体表面の凸凹を表す連続関数を f とし, f(x) は 0 ≦ x ≦ L について定義されているとします.

 

 

 

 

[2] 物体の粗さを定義する前に, 基準線を定めなくてはなりません.

 

基準線は x 軸に並行で, 

 

y = b

 

の形に表せますが, b は公式

 

b = (L^{-1}) * ∫_[0, L] f(x) dx

 

で定まります. ここに, 右辺の積分は, 区間 [0, L] 上での f のリーマン積分です.

 

b の特徴づけとして, b は, 直線 y = b , x = 0, x = L と f のグラフで囲まれた部分 S で,

 

y = b の 上側 を S_1, y=b の下側を S_2 とする時,

 

S_1 の面積と S_2 の面積が等しくなるような, ただ一つの実数です.

 

 

 

 

[3] f の粗さ Ra は, 

 

Ra = (L^{-1}) ∫_[0, L] | f(x) - b | dx

 

で定義されます. ここでも, 右辺の積分はリーマン積分で,

 

| f(x) - b | は f(x) - b の絶対値です.

 

ここで, [0, L] から 等間隔に, 分点, x_1, ・・・, x_n を取って,

 

z_i = | f(x_i) - b | の平均

 

m_n = (n^{-1}) (z_1 + ・・・+ z_n)

 

を考えると, n→無限大の時, 

 

m_n → Ra 

 

となります. (リーマン積分の定義)

 

実際には, 3次元測定器などで z_i を求めて, それらの平均を取り, 

 

Ra の近似値として, m_n を使用します.

 

( f は連続関数という前提から, リーマン積分でもルベーグ積分でも同じことです. )

 

尚, 多くの解説サイトでは, 初めから, b = 0 として解説しています. 

 

 

 

 

 

Rz については,

 

[1] と同じ前提のもとで,

 

Rz = (max f) - (min f)

 

と定義されます. ここに, max f と min f は, それぞれ, 区間 [0, L] における,

 

関数 f の最大値と最小値です.