kazz の数学旅行記

数学の話題を中心に, 日々の知的活動の旅路を紹介します.

実解析多様体の超曲面を定める正規方程式の問題.

今回の数学エッセーでは, 次の問題を考えます. (未解決です.)

 

M を実解析多様体 (有限次元ハウスドルフで位相が可算基底を持つものとする.), N を M の実解析的閉超曲面 (超曲面とは, codimension 1 の部分多様体のこと.) で, M - N = U ∪ V (U, V は M の開集合で互いに交わらないもの.) と書けて, N は M における U と V の両方の境界になっているものとする. このとき, 実解析的写像 f : M → R で, N = f^{-1}({0}), かつ任意の x ∈ N に対して T_x (f) ≠ 0 なるものが存在するか?

 

実解析多様体, つまり C^ω 級の場合は未解決ですが, C^ω 級の代わりに 1 ≦ r ≦ ∞ についての C^r 級の場合を考えるならば, すでに肯定的に解決されています. 証明はこちらのプレプリント.

 

 

上記の性質を持つ f を N の正規方程式といいいますが, C^r 級の場合は, 局所的に正規方程式を構成して行って, それを貼り合わせていくというテクニックが使えます. しかし, C^ω 級の場合だと, そのテクニックが使えないので, 問題になります.

 

 

文責: Dr. Kazuyoshi Katogi.