kazz の数学旅行記

数学の話題を中心に, 日々の知的活動の旅路を紹介します.

9 ÷ 0 = ? 算数の話

今回は、この話題について解説します。 

 

「9 ÷ 0 = ?」 

 

割り算を習いたての、小学校低学年の子供にどうやって 

 

理解させれば良いでしょうね? 

 

まず、いきなり 0 で割らないで、 

 

9 ÷ 2 くらいから始めてくださいね。 

 

9 ÷ 2 = 4 あまり 1 

 

ですね。 

 

この意味は、 

 

「9 の中には 2 が 4つ入っていて、あまり 1」 

 

ということです。 

 

つまり、 

 

「9 = 2 + 2 + 2 + 2 + 1」 

 

ということですね? 

 

では、 

 

9 ÷ 1 = ? 

 

どうでしょう。 

 

9 ÷ 1 = 9 

 

あまりはないですね。 

 

この意味は、 

 

「9の中に 1 は 9個入っていて、あまらない」 

 

ということです。 

 

つまり、 

 

「9 = 1 + 1 + 1 + 1 + 1 + 1 + 1 + 1 + 1」 

 

(1 を 9回足す) 

 

という意味です。 

 

 

 

 

 

 

 

では、いよいよ 

 

9 ÷ 0 = ? 

 

今までと同じように、考えてみましょう。 

 

すなわち、 

 

「9 の中に、0 はいくつ入っていますか?」 

 

ちょっとやってみましょう 

 

「9 = 0 + 0 + 0 + 0 + 0 + 0 + 0 + 0 + 0 + 0 +・・・・・」 

 

いつまでたっても終わりませんね。 

 

実際に、計算機では、 

 

「9 ÷ 0=」 

 

と入力すると、エラーメッセージが出ます。 

 

実は、 

 

「9 ÷ 0」 

 

の計算は、いつまでたっても終わらないんです。 

 

言うなれば、 

 

「9 の中に 0 は無限個入っている」 

 

つまり 

 

「9 ÷ 0 = ∞」 

 

と考えることができるんですが、 

 

∞という記号は、小学生では習いません。 

 

そこで、 

 

小学生の範囲では、 

 

「9 ÷ 0 は、いつまでたっても計算が終わらない」 

 

なので、 

 

「9 ÷ 0 は、答えが無い(答えにたどり着けない)」 

 

という風になるんですね。 

 

同じようにして、 

 

「1 ÷ 0」も、「2 ÷ 0」も、「3 ÷ 0」も、 

 

全て、いつまでたっても計算が終わりません。 

 

だから、小学校では、 

 

「0 で割ってはいけないよ」 

 

と教えます。

 

 

 

 

 

 

最後に、0 ÷ 0 を考えてみましょう。

 

問題の趣旨は、「0 の中に 0 がいくつ入っているか?」

 

です。

 

明らかに、0 の中には 0 は 1 つ入っていると考えられます。

 

では、0 ÷ 0 = 1として良いでしょうか?

 

こんな風にも考えることができますね:

 

0 = 0 + 0

 

これで、0 の中に 0 が 2つ入っていると考えられますね。

 

しかし、

 

0 = 0 + 0 + 0 

 

0 = 0 + 0 + 0 + 0

 

と続けていくと、

 

0 の中には 0 が 

 

3つ入っていると考えても、

 

4 つ入っていると考えても、

 

いくつ入っていると考えても良いことになってしまいます。

 

そこで、

 

0 ÷ 0 は、答えが一通りに定まらない、と言う風に考えられます。 

 

そう言う理由から、小中学校では、

 

やはり、「0 で割ってはいけないよ。」

 

と、教えます。

 

 

 

 

以上、なぜ 0 で割ってはいけないかの解説でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

文責: Dr. Kazuyoshi Katogi