今回の数学エッセーでは, 一様空間論について, 軽い話題です.
一様空間論は, ブルバキの位相 Chap.2 において定式化されています.
その中で重要な定理は, 一様空間の分離完備化や,
よく知られた定理:
『準コンパクト一様空間から一様空間への連続写像は, 一様連続である.』
という定理です.
(準コンパクト空間 X の場合, その位相構造と両立する一様構造は,
もしそれが存在すれば, ただ 1つしか存在しません.
すなわち, X の対角集合 Δ の,
X × X における近傍全体が, X の近縁全体に一致します.
もちろん, これは証明を要することです.)
実は, ブルバキの位相 Chap.1-2 を丁寧に検証すると,
今紹介したこれらの定理は, 実は, ZF において証明可能
であることがわかります.
特に, 大学の講義でよく述べられる,
『コンパクト距離空間から距離空間への連続写像は, 一様連続である.』
という定理も, ZF において証明可能です.
これらの事実は僕の数学ノートではいちいち詳しく述べておりませんが,
ブルバキの位相 Chap. 1-2 を丁寧にお読みになるだけで,
すぐにわかることです.
そのほか位相に関わる多くの定理が, ZF のもとで,
つまり, 選択公理を使わずに, 証明可能です.
文責: Dr. Kazuyoshi Katogi