数学ノートを更新しました。
今回のテーマは、テイラーの定理の逆です。
上記ノートの p.267, section 20.4 にて定式化されています.
K を離散でない可換付値体, E を K ノルム空間, F を分離多ノルム空間,
U を E の開集合, f: U → F 写像, r>0 を 自然数, 1≦k≦r に対して,
α_k : U → L_k (E; F) で, 任意の x ∈ U に対して α_k(x) は k 重対称とする.
更に, x ∈ U, h ∈ E に対して
ρ (x, h) = f(x+h) - f(x) - Σ_{k=1}^r α_k (h^k)
と置く時, 任意の c ∈ U と任意の真正実数 ε と F の任意の連続半ノルム q に対して,
真正実数 δ が存在し, || x - c || < δ, || h || < δ なる任意の x ∈ U, h ∈ E に対して
x + h ∈ U かつ
|| ρ (x, h) || ≦ ε || h ||^r
となっているとする. この時, f は r 回微分可能で, 1≦k≦r なる任意の k に対して
D^k f = k! α_k
となる.
この定理の前提条件は, 極限を取る際に, x → c なる部分も入っていて不自然ですが,
x → c の部分を除去することは, 私にはできませんでした.
この x → c の部分を除去できているかのように記述されている専門書もありますが,
私がそれを読んで確認したところ, 証明にギャップがあり, そのギャップを,
私はいまだに埋められないでいます.
正直に言えば, その証明を書いた人は, そのギャップに気づかなかったものと思われます. (でないと, あんなに簡単な議論で済むわけがない.)
文責: Dr. 加藤木 一好 (Kazuyoshi Katogi)