kazz の数学旅行記

数学の話題を中心に, 日々の知的活動の旅路を紹介します.

微分可能関数の不連続点について

今回、タイトルは何やら大袈裟ですが、

 

某巨大掲示板にあった以下の疑問に、ここでお答えします。

 

内容は, 大学 1年レベルの数学です.

 

f が R の開区間 I で微分可能な実数値関数で,

 

-1∈I, かつ

 

(x+1)f ' (x) = 2(x+1)       ∀x∈I

 

が成り立っているとき、

 

f ' (x) = 2         ∀x∈I

 

として良いか?

 

 

 

 

 

答えは, 良い, すなわち, f ' (-1) = 2

 

というふうになります.

 

どうしてかというと, x≠-1 のときは, 明らかに,

 

f ' (x) = 2

 

が成り立ちます.

 

f は仮定より x = -1 で微分可能で,

 

もし, f ' (-1) ≠ 2 とすると,

 

f ' に対して中間値の定理が使えて,

 

-1 に十分近い点 a が存在して,

 

f ' (a)  = (f ' (-1) + 2)/2

 

となり, 矛盾するからです.

 

f ' には連続性の仮定を置いていませんが,

 

この場合は連続になります.

 

重要な点は, 実数値微分可能関数の導関数には,

 

中間値の定理が使えるということです.

 

特に, 実数値微分可能関数の導関数には,

 

「ギャップ」のような不連続点は存在しないことがわかります.

 

(文献 [2] で言うところの, 第一種不連続点.)

 

参考文献

 

[1] 高木貞治 「解析概論」p.51 定理 24

[2] 杉浦光夫「解析入門 I」 p.98 定理 2.8

 

 

 

 

文責: Dr. Kazuyoshi Katogi