ある方が、数学的帰納法の記述の仕方について、
すごく悩んだことがあると、呟いておりました。
『a+b に関する帰納法で証明する。
n = a+b と置き, a+b が n よりも小さい場合には成り立っていると仮定して,
・・・』
と言う下りが、悩みの元だったそうだ。
これは、ハッキリ言えば、記述する側に責任があります。
記述の仕方が厳密ではないのです。
上記のような場合だと、正確には、次のような言葉遣いでの記述の仕方になります。
『a+b に関する帰納法で、命題 A(a, b) を証明することを考えます。
n = a + b と置き, k を任意の自然数とする。
n = a+b <k の場合には A(a, b) が成り立っているという仮定の下で、
n = a+b = k の場合にも A(a, b) が成り立つことを証明すれば、
任意の自然数 の組 (a, b) に対して A(a, b) が成り立つことが証明される。』
余談ですが、今のような、数学的帰納法に伴う理解の問題は、
私が学生時代、後輩に数学を教えた際にも、
発生したことがあります。
記述を正確にしないと、伝わらないのです。
文責: Dr. Kazuyoshi Katogi (加藤木 一好)