今回の数学エッセーでは, ZF のもとで, 次のことを証明します:
J が R の区間, f : J → R が連続単射ならば, f は真に単調となる.
証明:
まず, 注意として, [1] pp.130-131 の証明によれば, R の任意の区間が連結であることは,
ZF の下で証明できる.
そこで, 実ベクトル空間 R^2 の凸部分集合 D = { (x, y) ∈ J×J | x > y } で定義された連続写像
g : D → R - {0} ;
g(x, y) = ( f(x) - f(y) ) / ( x - y ) for (x, y) ∈ D
を考える. 仮に, f が真に単調でないならば, z_1, z_2 ∈ D が存在し,
g(z_1) > 0 かつ g(z_2) < 0 となる.
一方で, D は凸であったから, R^2 に於いて, z_1 と z_2 を結ぶ閉線分
K = { t z_1 + (1-t) z_2 | 0 ≦ t ≦ 1 }
は D に含まれ, 明らかに, K は R の閉区間 [0, 1] と位相同型である.
従って, 中間値の定理より, ある z ∈ K が存在し,
g(z) = 0
となる. これは, Im(g) が 0 を含まないことに矛盾する.
証明終わり.
参考文献
[1] 内田 伏一 / 集合と位相 (裳華房)
文責: Dr. Kazuyoshi Katogi