kazz の数学旅行記

数学の話題を中心に, 日々の知的活動の旅路を紹介します.

大学数学を独学するための参考文献 Part 1 ~基礎知識編~

この数学知恵ノートでは、大学数学を独学するための参考文献を挙げます。

 

Part1 では、基礎知識編です。

 

順序は論理的な構成に従っていますが、僕の専門が幾何系だったので、

偏りはあります。予備知識として、教養または学部の一年で習う線形代数

(特に掃き出し法)と微積分くらいはあったほうが良いですね。

 

1.1 集合論

 

これについては、以下のノートを参考にされてください:

 

数学文献ノート ~集合論 ZFC 入門~

 

集合論 ZFC 入門 ~論理体系の種類~

 

 

また、後日一般位相を学ぶときの理解を深めるため、

超準解析の本を一冊紹介しておきます。

(論理的には、不可欠と言うわけではありません。)

 

齋藤正彦著「超積と超準解析」(東京図書)

 

 

 

 

 

1.2 代数の本:ブルバキ数学原論 代数 第1章から第10章

 

ブルバキ数学原論シリーズは、Springer からフランス語版が出ています。

(僕は旧版を和訳で読みました。)

代数は第10章だけはまだ読んでいませんが、最近の出版らしいですね。

代数第8章の第2版は、amazon では近日発売として「ただいま予約受付中」

となってますが、当時僕が予約注文したら、翌日には「翌日発送」の知らせが来て、都合3日で手に入りました。

 

以下に述べる、ブルバキ数学原論」の解説は、旧版のものです。

 

1.2.1 第1章は、代数系一般論です。群・環・体の基本をやります。

 

一般の代数系準同型定理や、作用素を持つ群のジョルダン・ヘルダーの定理など、基本的なことが述べられます。整数と有理数の定義は、この章で述べられます。等質空間についても記述があります。

 

が、群論も入門編というだけあって、シローの定理などは述べられません。また、和訳で読む人は、ブルバキ数学原論集合論の記述スタイルに慣れていないと、わかり辛いかもしれません。

 

1.2.2 第2章は、加群線型代数です。

 

加群の双対や準同型、テンソル積、ベクトル空間、行列など、一般論を系統的にやります。ベクトル空間の基底の存在とその濃度の一意性に、証明が与えられます。

 

そのほか、多くを語る必要はないですが、内容は豊富です。

 

1.2.3 第3章は、多元環の一般論です。

 

テンソル積を基本に、対称代数、グラスマン代数をはじめ、様々な多元環をやります。特にこの章では、行列式とそのラプラス展開がエレガントに述べられます。 

 

一般論として、内容は非常に豊富です。

 

1.2.4 第4章は、多項式の理論です。

 

多項式や形式べき級数の一般論です。中学高校で習う多項式や分数式が、すっきりと定式化されます。高校で習う因数定理の一般化もあります。地道に読んでいけば、すんなり頭に入ります。

 

特に、微分積分で習う陰関数定理の形式べき級数版が証明されています。これは興味深かったですね。この章も、あまり多くを語る必要はないでしょう。

 

1.2.5 第5章は、体とその拡大の理論です。

 

体の拡大について、一般論をやります。最小多項式をはじめ、代数拡大、超越拡大、分離拡大、正規拡大など、拡大体についてやります。特に、分離拡大については、超越拡大も視野に入れた定式化がされています。代数閉包の存在と一意性も述べられます。

 

最後のほうでは、この章の大きな目的たるガロア理論が述べられます。ガロア拡大に関する基本性質が述べられ、有限次ガロア拡大に関する基本定理:ガロア群の部分群と、中間体の対応付けに関する定理が述べられます。 

 

付録も付いており、対称多項式と無限次ガロア拡大について述べられます。 

 

ちなみに僕は、この第5章を学部入学前に読んでいたので、

学部3年生のガロア理論の中間試験で、96点、成績評価 A を取りました。

(期末試験は返却されなかったので、点数はわかりませんでした)

 

1.2.6 第6章は、順序群、順序体の理論です。

 

この章は、第7章の単因子論の準備と言えます。

 

私たちが小学生で習った最大公約数や最小公倍数など、整除関係の一般論が、順序群の言葉で述べられます。

 

極大順序体の存在は証明されますが、一意性は演習問題にまわされています。 

 

この章も、地道に読んでいけば、頭にすんなり入ります。

 

1.2.7 第7章は、単因子論です。

 

単項イデアル整域の一般論からはじまり、有限生成アーベル群の基本定理が、単項イデアル整域を係数環とする加群について一般化されます。

 

僕は、単体複体のホモロジーの具体的計算方法を、この章で学びました。

 

後半部分では、行列のジョルダン標準形やケーリー・ハミルトンの定理などが、単因子論の立場で定式化されます。

 

1.2.8 第8章は、半単純環の理論です。

 

ブルバキの代数シリーズでは、読むのに一番忍耐力を要する部分です。

 地道に辛抱強く読んでいけば、後でリファレンスとして利用できます。

ブルバキシリーズの可換代数で、必要となる定理もたくさんあるので、

代数的整数論や環論に興味のある方は、必読の章です。

 

1.2.9 第9章は、内積空間の一般論です。

 

内積を準双線型形式として定義し、線型代数でおなじみの正規直交基底の存在や、実対称行列の直交行列による対角化、エルミート行列のユニタリー行列による対角化などが一般化されます。(四元数の場合にも拡張されます。)

 

最後のほうでは、角度の一般論が述べられます。 

 

1.2.10 第10章はホモロジー代数です。 

 

この巻は僕はまだ読んでいませんので、解説できません。

が、ホモロジー代数については、別の文献を紹介します。 

 

 

 

 

 

 

 

 

1.3 一般位相の本: ブルバキ数学原論 位相 第1章から第10章

 

はっきり言って、このシリーズさえあれば、基本は大丈夫です。

 

1.3.1 第1章は 一般位相の基礎です。

 

開集合、閉集合、近傍、ハウスドルフ空間、正則空間、コンパクト空間、局所コンパクト空間、パラコンパクト空間、連結空間・・・

 

学部2年次レベルの位相の講義でおなじみのことは、距離空間以外は全て網羅しています。(ブルバキ・シリーズではこの時点ではまだ実数が定義されていないので、距離空間は後回しです。)

 

チコノフの定理、アレクサンドロフの一点コンパクト化などについても記述があります。

 

また、最近の大学の講義ではあまり出てきませんが、この本ではフィルターを使った定式化がいたるところに見られます。ハウスドルフ空間における極限の一意性や、コンパクト空間上のフィルターの接触値の存在などです。むしろ、ブルバキでは、極限の概念そのものがフィルターを使って定式化されます。

 

僕は学部2年の位相の中間試験で、このブルバキ・位相のおかげで98点を取れましたが、フィルターを断りなしに使ったせいで、2点は減点でした。知識もオーバースペックだと、満点を逃すんですね。

 

そのほか、適性写像(固有写像)についても記述があります。(コンパクト空間の、適性写像を使った特徴づけもあります。)

 

1.3.2 第2章は、一様空間の一般論です。

 

距離空間の一般化として、非常に美しい定式化です。一様連続写像系統的に扱うのが、この章です。超準解析を用いた定式化もできます。

 

一様空間は、距離空間の自然な一般化です。後で、関数空間や位相線型空間の理論で不可欠になる章です。

 

コーシー列の一般化として、コーシーフィルターが出てきます。一様空間の完備化が、一つの難関でしょう。(完備化の部分は、ZF集合論でも、超準解析でも証明可能です。)

 

重要な定理として、コンパクトハウスドルフ空間の位相と両立する一様構造はただ一つ定まること、そして、コンパクトハウスドルフ空間から一様空間への連続写像は、自動的に一様連続になることが挙げられます。(ZF集合論でも超準解析でも証明可能です。)

 

そのほか、第1章と第2章の記述で、各定理がZF集合論を用いて(つまり、選択公理を用いずに)証明可能かどうかをチェックするのは、良い演習問題になるでしょう。(もちろん、チコノフの定理や無限集合上の自明でない超フィルターの存在定理は、無理です。)

 

1.3.3 第3章は、位相群の入門です。

 

位相群には、自然に一様構造が入ります。位相群の完備化や連続準同型写像について述べられます。無限級数の概念も一般化されます。(総和可能という用語が用いられます。)また、位相群と逆極限との結びつきもあり、かなり抽象的な章になります。この章は、実数論や位相線型空間論、解析学や環論では不可欠です。

 

1.3.4 第4章では、実数が定義されます。

 

実数列の極限、上極限、下極限、挟みうちの原理、単調極限の定理など、

学部一年生でおなじみの実数の性質が厳密に定式化され、紹介されます。

自然数全体の濃度 < 実数全体の濃度」も、証明されます。

 

実数の無限級数や無限乗積も述べられます。

 

それと、一番印象的なのは、10進展開の一般化が述べられ、

後で出てくるネイピアの数 e が無理数であることが、

この一般論とテイラー展開から、即座に出てくるところでしょう。

 

あまり多くを語る必要のないところです。地道に読みましょう。

 

1.3.5 第5章では、位相群としての実数体の性質が述べられます。

 

位相群実数体の局所同型について一般論が述べられ、指数関数、

対数関数がZFCに基づいた厳密な立場で定義されます。 

ネイピアの数は、まだこの段階では定義されません。

 

1.3.6 第6章は、ユークリッド空間、射影空間、グラスマン多様体の基本性質が述べられます。

 

1.3.7 第7章は、ユークリッド空間の部分群、商群についての基本性質と分類定理が述べられます。単因子論とも関係するところです。

 

周期関数や周期群と言う用語が出てくるのも、ここです。 

 

1.3.8 第8章は、複素数四元数の定義です。

 

代数学の基本定理は、もちろん証明されます。

 

この章で初めて、三角関数が出てきます。かなり厳密な定式化です。

角を測る弧度法ともつながりがあります。三角関数は、オイラーの公式を念頭に入れて、定式化されます。おかげで、加法定理がスムーズに理解できます。

 

1.3.9 第9章では、距離空間の理論です。

 

距離空間距離空間、完全正則空間、正規空間、1の分解などについて述べられます。

 

ストーン・チェックのコンパクト化は、ブルバキ積分論で必要になりますが、演習問題にまわされています。

 

ボレル集合についての記述があるのも、この章です。学部2年次レベルの位相に比べると、順序が違いますね。 

 

それと、ブルバキ数学原論には出てきませんが、L. Shwartz が一般化した version の閉グラフの定理の証明の準備として、ポーランド空間、ススリン空間やふるいがけの概念が紹介されています。

 

1.3.10 第10章では、関数空間の入門です。

 

一様収束やコンパクト開位相は、この章で学びます。ここで、第2章で、一様空間論をやっておいたのが、効きます。一様構造を用いた、非常に美しい定式化です。同程度連続の概念が一般化され、アスコリ・アルツェラの定理が、この段階で述べられます。 

 

総じて、ブルバキの位相は様々な基礎知識が網羅されており、自学自習に最適ですね。

 

 

 

 

 

 

 

1.4 初等関数の微分積分微分方程式など。

 

ここでは、初等解析の厳密な立場での復習として、

ブルバキ数学原論実一変数関数 

を紹介しておきます。

 

第1章から第7章までありますが、短いです。

一変数の微分、方正関数の積分、テイラーの公式、

有限増分の定理(平均値の定理の一般化)、

sin x, cos x, tan x, e^x, log x の微分

微分方程式入門(解の存在と一意性)、

漸近展開入門、ガンマ関数などがあります。

これらは全て、集合論 ZFC に基づいた、厳密な定式化です。

 

特に、テイラーの公式の剰余項の符号の扱いが精密なので、

学部の微積分の演習の講義にも、この本で対応できます。

 

 

 

 

 

 

 

1.5 位相線型空間について。

 

ここでは、二種類の文献を紹介します。

 

1.5.1 ブルバキ数学原論位相線型空間 第 1章から 第5章まで。

 

局所凸空間やヒルベルト空間など、基礎はこの本でばっちりです。

写像定理や閉グラフの定理は、もちろんカバーしています。

位相で学んだ関数空間の一般論は、このシリーズで生きてきます。

線型空間の双対性が、一つのメインテーマでしょう。

 

基本と言うこともあって、作用素論までは述べられませんが、

そのための予備知識としては十分でしょう。

 

また、係数体として、超距離体まで考えているところが、ブルバキらしいです。

昔の流行でしょうね。

 

この本の及ばないところは

 

1.5.2 J.L. Kelley 「線形位相空間論」

 

を読むと良いでしょう。実または複素数係数の

位相線型空間の理論が非常に詳しいです。

 

 

 

 

 

 

 

1.6 測度論について。

 

1.6.1 測度論については、第一に、

ブルバキ数学原論積分第1章~第9章

が挙げられます。

 

局所コンパクト空間上のラドン測度の百科事典ですね。

僕は以前、 2ch の数学板でブルバキ積分論の

レビューを書きましたが、今は見られるのかどうか。

 

この積分シリーズで、特に、第1章~第5章は、基礎です。

 

まず、ミンコフスキーやヘルダーの不等式の一般化、

次にベクトル束について述べられます。

その上で、測度は、テスト関数の位相線型空間上の

連続線型汎関数として定義されます。

 

ラドン測度による積分、L^p 空間、ルベーグの定理、可測関数、

測度空間に値を取る関数の積分を利用した

フビニの定理の証明、測度と関数の積、測度の像、

L^p 空間の双対性などです。

 

積分は、局所コンパクト空間上で定義され、

バナッハ空間に値を取る関数がメインです。

 

特に、第4章の L^p 空間の定式化は、ベクトル束を用いた

効率的かつ美しいものになっています。

 

フビニの定理は、ラドン測度に関するということもあって、

測度のσ有限性を仮定しなくても証明されています。

 

第6章はベクトル値測度です。

ベクトル値微分形式に関するストークスの定理の定式化で必要になります。

スカラー値ならば、必要ありません。)ここは地道に読むところです。

 

第7章はハール測度(存在と一意性含む)です。

数論でハール測度を使う方もいらっしゃるようですね。

ここも地道に読むところです。

 

第8章は畳み込みです。

ハール測度の概念は、系統的に使われます。

畳み込みは、ブルバキの本は

ちょっと急ぎすぎの部分もあり、

定式化が足りないと感じられました。

 

実数係数の L^p 空間上の畳み込みや、

畳み込み可能性の必要十分条件

十分条件などについては、

自分で定式化しなおす必要があるでしょう。

 

第9章はハウスドルフ空間上の測度です。

今まで学んだラドン測度の理論の一般化です。

ラドン測度の一般論としては、かなり一般化されていますね。

ボレル集合体上の完全加法的集合関数との関連、

確率論で出てくるプロホロフの定理などが述べられます。

局所凸空間上の測度やフーリエ変換も定義されます。

薄い冊子ですが、内容は豊富です。

 

1.6.2 ブルバキではフォローしていない、確率論などで出てくる

位相の入っていない集合上の測度については、

 

鶴見茂「測度と積分

 

を紹介しておきます。基本はこの一冊で十分です。

その上で、位相の入っていない集合上の測度に関する

ボホナー積分に進みたい方は、ブルバキ積分第4章の

L^p 空間の理論や第9章の演習問題を参考に、

基本的なことは自力で定式化できるはずです。

 

 

 

 

 

 

 

1.7 微分積分の基礎としては、

L. Schwartz著 「解析学」vol.1 から vo.7 (東京図書)

が挙げられます。ブルバキの及ばないところは、これで補うと良いでしょう。

 

定式化は明快、語り口調は論理のツボを抑えていて、わかりやすいです。

 

1.7.1 第1巻 集合と位相のおさらいです。

位相の部分で、不動点定理やアーベルの級数の式変形が出てきます。

そのほか、複素数の無限乗積と無限和の関係も紹介されています。

 

1.7.2 第2巻 フレッシェ微分の基礎です。

 

この巻については、僕はアマゾンで、レビューを書いています。

詳しくは、こちらをご覧ください:

 

アマゾンレビュー 1

 

この本は特に、多様体や接ベクトルの基礎が幾何学的直観に

のっとっていて、わかりやすいです。

 

この段階で、H. Whitney による抽象多様体の埋め込み定理:

 

「n 次元実 C^r (r>0)級多様体は、2n+1 次元ユークリッド空間の

C^r 級閉部分多様体に可微分同相である。」

 

と言う定理が、証明できるでしょう。(ここでの閉部分多様体の「閉」は、

コンパクトという意味ではなく、部分位相空間として閉と言う意味です。

実は予備知識としては、本質的に、微積分と線型代数位相空間

ちょっとした知識があれば、十分に証明はフォローできます。)

 

参考文献として、岩波の

足立正久「埋め込みとはめ込み」第2章§1~§4

を挙げておきます。証明は畳み込みを用いてちょっと工夫すれば、

C^1級の場合にも適用できます。もちろん、馬力のある読者は

H. Whitney の原論文を読んでも良いことです。

 

このあたりで必要になる Whitney 位相の基本性質については、

岩波基礎数学選書「多様体論」志賀浩二著の第1章

が詳しいです。

 

また、「C^r  (r>0) 級多様体には、C^∞級多様体構造が付く」

と言う定理の証明は、下記のノートの Lemma 3 を紹介しておきます:

 

部分多様体の可微分構造を徹底的に滑らかにするノート

 

(もちろん、H.Whitney の原論文にも書いてあります。)

 

1.7.3 第3巻、第4巻 はラドン測度、積分論です。

 

ラドン測度についてはブルバキにも定式化があるのでダブる所は多いですが、

ヤコビアンを用いた変数変換や、有界変動左連続関数の定める測度 (確率論

で使われる) 、弧長測度など、ブルバキにはない実用的な話題が盛りだくさんです。

 

ブルバキ積分論を参照しながら、証明を補いながら読めます。

 

1.7.4 第5巻は微分形式の基礎理論です。

 

これについても、僕はアマゾンでレビューを書いています。

詳しくは、そちらに譲ります。

 

アマゾンレビュー 2

 

この巻の目的は、ストークスの定理微分形式を用いて定式化することです。

シュワルツの定式化は、論理的にはまだまだ一般化できます。

 

一般化に興味のある読者は、以下のノートをご覧ください:

 

ストークスの定理1,2

 

ファイル名は、

 

ストークスの定理_用語と目次.pdf

ストークスの定理.pdf

 

の 2つです。

 

僕のノートをスキャナーで読み込んで pdf 化されたものが、up されています。

ブルバキ多様体の知識を、部分的に仮定します。)

 

1.7.5 第6巻は、複素解析です。

 

コーシーの積分公式、留数定理を用いた定積分の計算は、

一通りフォローしています。ですが、リーマンの写像定理とか、

複素解析のあまり深い部分には踏み込みません。

 

また、この巻では、「ノルム空間の開集合からバナッハ空間への

一回複素微分可能な関数は何回でも微分可能である」

と言う定理に証明を与えると約束しておきながら、

証明していません。

 

この定理について証明を欲する読者は、以下のノートを参照してください:

 

弱微分可能関数について

 

( Hartogs の定理や位相線型空間論は、既知としています。

Hartogs の定理については、多変数複素解析の本を拾い読みしてください。

たとえば、

 

ヘルマンダー著「多変数複素解析入門」第1章~第2章§2 まで

 

和訳のほうで数えて 29ページ弱を読めば、十分です。

ちなみに和訳は絶版ですが、英語版は、現在出版されています。)

 

 

 

 

 

1.7.6 第7巻では、微分方程式ヒルベルト空間、フーリエ級数を論じます。

 

微分方程式は、変数は1次元だけです。全微分方程式偏微分方程式は扱いません。

ですが、一般論・基礎理論としては、十分です。

 

フーリエ級数については、学部の試験やレポートには、十分対応できるだけの

知識は提供しています。学部の講義よりも詳しいと思います。

 

 

 

 

1.8 可微分多様体

 

これについては、僕は、ブルバキ多様体・要約に必要な部分に

自力で証明を与えて、活用しています。1.1 から 1.7 まで紹介してきた

文献を通読していれば (僕は、通読には2年かかりました)、ブルバキ

多様体・要約(第1巻のほう)は、結構読める部分が多いと思います。

(商多様体の部分が、一つの難関だと思います。)

 

特に、幾何系に進む人は、ファイバー・バンドル、ベクトル・バンドルは

不可欠です。多様体・要約にも記述がありますから、自力で証明を

与えながら読むのは、良い演習問題になるでしょう。

 

参考までに、この本の最初のほうで論じられる「真微分可能関数」

について、ノートを4つ、紹介しておきます。

 

真微分ノート1

真微分ノート2

真微分ノート3

真微分ノート4

 

そのほかの部分のノートについては、

スキャナーで読み込んで pdf 化してあるものを、

とりあえず up しておきます:

 

ブルバキ多様体補足ノート§1-§9

ブルバキ多様体補足ノート§10

open_set_of_k-space.pdf

 

 

ファイル名は

 

ブルバキ多様体_補足A_§1-§4.pdf

ブルバキ多様体_補足A_§5.pdf

ブルバキ多様体_補足A_§6§7.pdf

ブルバキ多様体_補足A_§8§9.pdf

微分多様体の基礎.pdf

 

ブルバキ多様体§10.pdf

 

open_set_of_k-space.pdf

 

の 7個です。最後の open_set_of_k-space.pdf は、

k-space の開部分集合の k-space としての部分空間の位相と

通常の位相空間としての部分空間の位相が等しくなることの証明が

書いてあり、それは、ブルバキ多様体_補足A_§6§7.pdf の

k-space version の部分の証明で必要になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

1.9 圏論

 

有名なのは マックレーンの 「categories for the working mathematician」

ですが、僕は、大熊正著「圏論」(槙書店)を読みました。

基礎を身につけるためならば、このレベルの本は、

どれを読んでも同じです。

 

 

 

 

 

 

 

1.10 ホモロジー代数

 

アーベル圏の埋め込み定理がネックになると思います。

これについては、

 

1.10.1 P. Freyd の「Abelian categories」

 

がわかりやすいです。ネット上の pdf にリンクしています。

 

ホモロジー代数一般については、

 

1.10.2 岩波基礎数学選書 河田敬義著「ホモロジー代数」

 

があります。

 

アーベル圏の埋め込み定理が既知ならば、読むのは相当楽です。

 

アマゾンのレビューはこちら:

 

アマゾンレビュー 3

 

なお、この本には、一つ小さなミスがあります。

それについては、このノートを参照してください。

 

ミスのノート 1

 

 

 

 

 

 

 

1.11 確率論

 

1.11.1 西尾真喜子著「確率論」実教出版

 

これ一冊で、入門編としては良いでしょう。

Book レビューはこちら:

 

アマゾンレビュー 4

 

1.11.2 コルモゴロフ「確率論の基礎概念」

 

言わずと知れた、確率論の名著です。

ちくま学芸文庫から、第3版が翻訳されています。

 

ただし、この本には、一箇所ミスがあります。

それについては、こちらをご覧ください。

 

ミスのノート 2

 

(ただし、このノートでは、ミスのある定理の掲載されているページの記述が、東京図書刊の第2版の翻訳に従って、p.85 となっています。ちくまの第3版翻訳では、115ページ目です。)

 

確率論でおなじみの中心極限定理そのものについては、

 

1.11.3 清水良一著「中心極限定理」教育出版

 

が素晴らしいです。ベリー・エッセンの不等式を含みます。

中心極限定理が成り立つための必要十分条件としての

リンデベルグ条件について、非常に詳しいです。

 

予備知識としては、可微分多様体のようなものは必要ありません。

微分積分線型代数、集合と位相の初歩、抽象測度論 (1.6.2)、

複素解析 (1.7.5)、確率論入門 (1.11.1 の第6章まで) の知識さえ

あれば、主要部分は何とか読めます。

 

 

 

 

 

 

 

以上です。今は絶版の本もたくさんありますが、

一般の人向けに蔵書を公開している大学もたくさんあると思います。

興味のある方は、是非、足を運んで読んでみてください。

 

 

 

 

 

 

 

文責: Dr. Kazuyoshi Katogi (加藤木 一好)

 

(Yahoo! ブログの廃止に伴い、こちら、はてなブログへと引っ越してきています。)