今回は、任意の無限基数 A に対し、
A^2 = A
なることを証明したいと思います。
証明、と言っても、私のオリジナルではなく、
良く知られた証明方法を紹介するだけです。
さて、積集合 A×A 内の整列順序 R を,
(x, y), (z, w) ∈ A×A に対し、
(x, y) R (z, w) ⇔ max (x, y) < max (z, w) or
(max (x, y) = max (z, w) and x < z) or
(max (x, y) = max (z, w) and x = z and y < w)
で定義します。
この整列順序 R に対して、明らかに A×A は最大元を持ちません。
そこで、任意の (x, y)∈A×A に対し、
(x, y) によって定まる、順序 R に関する A×A の切片 S_R (x, y)
を考えます。
S_R (x, y) = { (z, w) ∈ A×A | (z, w) R (x, y) }
です。
今、a = max (x, y) + 1 < A (+ は、順序数としての和)
とおくと、
S_R (x, y) から a×a×a への単射 f が、
f (z, w) = (max (z, w), z, w)
で定まります。
よって、
card (S_R (x, y)) ≦ card (a×a×a)
となります。
今、超限帰納法の仮定より、
card (a×a×a) ≦ max (card(a), card(N))
となります。
ここに、N は自然数の全体です。
よって、
card (S_R (x, y)) ≦ max (card(a), card(N)) ≦ A
となり、(x, y) ∈ A×A に対する 上限へ移行することにより、
card (A×A) ≦ A
となり、証明は完了します。
ここで、注意です。
上記証明で、A が基数でなくても、A が δ- ordinal であれば、
a×a×a < A (×は順序数としての積)
となり、f は順序を保存する埋め込みとみなせるので、
A×A に上記の 整列順序 R を与えると、
整列順序集合として、
A×A と A は同型となります。
文責: Dr. Kazuyoshi Katogi