今回の数学エッセーでは,
ユークリッド空間の連結開集合 U の任意の 2 点 x, y に対し,
x, y を結ぶ, 座標軸に平行な U 内の線分からなる
折れ線 L が存在することを証明します.
x∈U を固定します.
座標軸に平行なU 内の線分からなる折れ線で,
x と結べる U の元全体を A とします.
A が U で開かつ閉になることを証明すれば,
U の連結性により, U = A となり, 題意が示されます.
そこで, z ∈ A を任意に取り,
z を中心とした 半径 b>0 の開球 V ⊆ U を取ると,
明らかに, 任意の w ∈V は座標軸に平行な線分からなる
V 内の折れ線で, z と結べます.
z と x は座標軸に平行な線分からなる U 内の折れ線で結べるので,
x と w も座標軸に平行な線分からなる U 内の折れ線で結べます.
よって, V⊆A となり, A は U の開集合です.
次に, A 内の点列 (a_n) が a ∈ U に収束するとします.
やはり, a を中心とした, 半径 c>0 の開球 W⊆U を取ります.
すると, 十分大きな n に対し, a_n ∈ W となります.
明らかに, a_n は座標軸に平行な線分からなる W 内の折れ線で,
a と結べます.
一方, a_n は座標軸に平行な線分からなる U 内の折れ線で,
x と結べます.
よって, a は座標軸に平行な線分からなる U 内の折れ線で,
x と結べます.
よって, a ∈ A となり, A は U で閉です.
したがって, A は U で開かつ閉となり, 証明は終わります.
この証明の方法は, L. Schwartz 解析学 1 で,
ユークリッド空間の連結開集合は弧状連結になる事の証明を,
そのまま書き換えたものです.
文責: Dr. Kazuyoshi Katogi